経験はあるのに、自分の強みを説明できないことはないですか?
インフラエンジニアとして長く働くほど、運用保守、追加開発、サーバー構築、クラウド移行などの経験が増えます。しかし、職務経歴書を書こうとすると「何を、どこまで自分が担当したのか」を思い出せません。私の場合は、4ページの職務経歴書を添削してもらった際、ネットワークの説明をもっと詳しくするよう助言されました。
私の4ページの職務経歴書で、追加を求められたのはNWの説明
私が転職時に作った職務経歴書は4ページでした。AWS・OCI・オンプレミスからクラウドへの移行経験について、セキュリティサービスやインフラ構成の自動化を担当したことを書き、数値では経験年数と案件人数を示しました。dodaの添削で言われたのは、ネットワークについてもっと詳しく書いてほしい、という助言です。
この経験から、技術名を挙げるだけでは担当した仕事が伝わらないと感じています。たとえば、OCI移行ではデータベース全体を担当したのではなく、関連サーバー移行のセキュリティ、Terraformによる自動化、バックアップを担当しました。Terraformも新規作成ではなく既存コードの修正です。面接では、担当分野が絞られていたことを説明したうえで、Terraformの話に関心を持って聞いてもらえました。
以下の棚卸し表は、このような担当範囲を読者が整理するための形式です。当時の私のExcelファイルを再現したものではありません。
5ステップで経験を「応募に使える材料」へ変えます
この手順は、①案件を時系列で出す、②作業を工程別に分ける、③自分の判断を見つける、④転用できる強みへ言い換える、⑤求人要件と照合する、の5ステップです。
最初から職務経歴書の文章を書きません。先に事実を表へ出し、その後で応募先に必要な部分を選びます。棚卸し表は半年後や翌年に更新できる形で残します。
ステップ1:Excelで案件一覧の土台を作る
Windowsのスタートメニューから「Excel」を開き、開始画面の「空白のブック」を押します。Googleスプレッドシートを使う場合は、「空白のスプレッドシート」でも同じ列を作れます。
画面下部のシート見出し「Sheet1」を右クリックし、「名前の変更」を選びます。入力例は「経験棚卸し_2026」です。
1行目に、次の見出しを入力します。
「期間|案件の目的|環境|担当工程|実施作業|自分で判断したこと|相談・連携先|結果|使った技術|公開可否」
最初は、当時の職務経歴書、社内の目標管理資料、資格取得時期などを見ながら「期間」と「案件の目的」だけ埋めます。顧客名や社内システム名は入力せず、「金融系システムの運用保守」「データベース移行に伴う関連サーバー移行」のように一般化します。
入力例(期間・条件は説明用。本人の記録へ置き換えて使用):
「2023年4月~2024年3月|データベース移行に伴う関連サーバー移行|OCI|調査・設計・構築|セキュリティ設定、Terraform修正、バックアップ設計|クラウド移行後のネットワークで取得方法を検討|DB・NW担当|構築完了|OCI、Terraform、Vault|社名非公開」
この段階では、文章を整えません。思い出した順に1案件1行で追加します。
ステップ2:担当工程を同じ言葉にそろえる
「担当工程」列には、調査、要件確認、設計、構築、テスト、移行、運用、障害対応、改善、手順書作成の中から当てはまるものを入力します。
複数工程を同じセルへ記録するため、この列は自由入力にします。「ホーム」→「折り返して全体を表示する」を押し、次の工程名から実際に担当したものを入力してください。
「調査,要件確認,設計,構築,テスト,移行,運用,障害対応,改善,手順書作成」
複数工程を担当した案件は「調査・設計・構築」のように書いて構いません。ただし、「全部」とまとめないでください。面接で深掘りされたときに、担当範囲を説明できなくなります。
たとえばAWS運用保守の経験は、「運用」だけでなく、実際に行った監視、障害対応、問い合わせ、設定変更、手順書作成へ分けます。追加開発でWindows・Linuxサーバー構築やAD構築、LDAP連携を行った場合は、運用案件の中でも「構築」の経験として別に記録します。
ステップ3:「自分で判断したこと」を1案件1つ書く
実施作業だけでは、指示された手順を実行したのか、自分で調べて決めたのかが伝わりません。「自分で判断したこと」列には、正解を知る前に自分が選んだ行動を書きます。
入力例は次のとおりです。
- 原因不明の障害で、最初に製品バージョンと既知の不具合を照合した
- マイナーバージョンまで確認し、該当するバグを切り分けた
- クラウド移行後のネットワーク構成を踏まえてバックアップ経路を検討した
- マニュアルやベンダーサポートがないストレージを、資料と動画で調べてクラスタへ組み込んだ
対象セルを選択し、Excel上部の「ホーム」タブにある「折り返して全体を表示する」を押すと、長い文章をセル内で確認しやすくなります。
判断が思い出せない案件は、当時の困りごとから逆算します。「何が分からなかったか」「最初に何を確認したか」「誰へ相談したか」「何を比較したか」の4問を順に答えてください。
ステップ4:会社が変わっても使える強みへ言い換える
次に、新しいシートを追加します。画面下部の「+」ボタンを押したら、追加されたシート名を「強み一覧」へ変更してください。
見出しには「元の経験|再現できる行動|応募先での使い道|根拠となる案件」と入力します。
入力例:
「AWS・OCIの実務経験|異なるクラウドでも仕様を調べ、構成へ反映できる|複数環境の比較やクラウド移行|OCI移行案件」
「障害の原因調査|既知情報、バージョン、ファイル内容の順に確認し、専門部隊と連携できる|運用保守と障害対応|ミドルウェアのバグ対応」
サービス名だけを強みにすると、そのサービスを使わない求人では価値が伝わりません。「調査できる」「設計へ反映できる」「関係者と切り分けできる」のように、別の会社でも繰り返せる行動へ変えます。
ステップ5:職務経歴書へ転記する経験を3つ選ぶ
応募したい求人票を1件だけ開き、仕事内容、応募に必要な経験、歓迎される経験が書かれた欄を確認します。見出し名は求人サービスによって異なるため、「仕事内容」「必須条件」「歓迎条件」など意味が近い欄を使ってください。
求人票から繰り返し出る言葉を3つ控えます。例は「AWS設計、関係部署との調整、IaC」です。
Excelの「強み一覧」シートを開き、上部の「データ」タブにある「フィルター」を押します。「応募先での使い道」列から、求人の3語に近い経験を探し、E1へ「選択」という列を追加し、使う経験のE列へ「○」を付けます。元の経験の文章は変更しません。
選んだ3行を、職務経歴書の冒頭要約、自己PR、面接回答へ使います。応募するか見送るかの採点まではここで行いません。続きは求人票を見て応募する・見送るを決める手順で、求人条件との照合から進めます。
職務経歴書への入力例:
「AWS約3年、OCI約2年の実務経験があり、運用保守に加えてクラウド移行の調査・設計・構築を担当しました。既存Terraformコードの修正や、移行後のネットワークを踏まえたバックアップ設計を経験しています。」
つまずきやすい箇所と対処
サービス名を並べて終わる
EC2、VPC、TGW、WAFと書くだけでは、閲覧経験なのか設計経験なのか分かりません。各サービスの横に「操作した」「設定変更した」「設計した」「構築した」のいずれかを追加します。
チームの実績を自分の実績として書きそうになる
「システムを移行した」ではなく、「移行のうちセキュリティ設定、Terraform修正、バックアップ設計を担当した」と範囲を区切ります。担当外の成果は「案件全体」、自分の行動は「担当範囲」と分けます。
経験不足ばかり見つかる
不足分野は別列に増やさず、「今後の学習候補」シートを追加します。入力例は「IaC新規作成、セキュリティ、ネットワーク」です。棚卸しの目的は落ち込むことではなく、応募に使える経験と今後補う技術を分けることです。
3つの求人へ強みを選び直せれば完成です
異なる求人を3件用意し、それぞれについて使う経験を3つ選んでください。同じ経験が複数の求人に合う場合は、そのまま選んで構いません。求人条件に対する根拠を説明できない箇所だけ記録へ戻り、確認できた事実を補ってください。
半年後は新しい案件を最下行へ追加し、強み一覧も更新します。転職時だけでなく、社内の評価面談や資格学習の優先順位を決める資料としても使えます。
棚卸し後に求人を見れば、自分の経験と市場で求められる条件の差を確認できます。クラウド・インフラ系の求人を比較する場合は、レバテックダイレクトも候補の1つです。私は同サービスを実際の転職では利用していないため、登録条件や求人内容は公式画面で確認してください。

